颯太は言いしれ

  部屋の中からは、裕太がなにやらゴソゴソしている音が、
聞こえてきた。薄暗い階段を歩いていると・・・
なんだか知らないところを、歩いているようだ。
なんとなく、他人行儀な、よそよそしい雰囲気・・・
ほんの数時間前までは、人の気配があったであろうに・・・
夕闇差し迫る中新娘化妝、颯太は言いしれない想いを感じていた。

 その時、裕太がヒョコっと、階段脇に顔をのぞかせると、
「颯太に、預かってほしいものがあるんだ」と言う。
「なんだい」
颯太は、少しかすれた声で聞いたHIFU 瘦面
「タイムカプセルに入れるつもりだったものだけど・・・
どうするかは・・・颯太が決めてよ」
と言うと、裕太は「こっちこっち」と颯太を手招きした。
 そこには・・・あの襲撃の痕は消えていたけれど、壁には、
今もうっすらと、赤い文字の痕跡が残っていたのだ。
裕太は、颯太の視線の先に気が付くと、
「血ってさ・・・乾くと、中々きれいに、落ちないもの
なんだなぁ~」と言う。
白い壁紙だったから、なおさら目立つのか・・・
「おまえ、よく平気だなぁ」
颯太が感心したように言うと・・・
「怖かったけれど・・・いるしか、なかったしな」
と、相変わらず、ヘラッと笑う割痔瘡手術・・・
「で、預かってほしいものって、なんの?」
颯太がキョロリ空を眺めながら、部屋を眺める。
すっかり、荷物は運びだされ、がらんどうの空間が
残されていた・・・